Vol.211(2020年4月号)
白いセーターの少女小笠原 望
コロナコロナで、うっとおしい時期にちょっとほっこりした話を一席。
もう50年も前の話になります。大学2年生のぼくは、中学校の恩師の家を訪ねました。そのときに大家の娘さんに会わそうかと、言われました。これは予定された引き合わせだったのでしょう、それにしても現われたのは白いとっくりのセーターを着た高校2年生でした。「背の高い子だなあ」が、第一印象でした。
無理やり連れてこられたようなぎこちなさがあったのは、高校2年生ですからもちろん仕方のないことでしょう。このころのぼくは、長い暗いトンネルの中の毎日を送っていましたので、初対面のときからのぼせあがってしまいました。
「このひとと結婚する」
そうこころに決めました。相手は高校2年生です。いたいけな少女には迷惑な話だったと思います。文通が始まりました。文通なんて、懐かしい言葉です。それも一方的に書きまくったのがぼくです。
津軽の冬は長く、お金に余裕のない学生は下宿で本を読むか、手紙を書くのが時間をつぶすのに一番でした。書きました。原稿用紙5枚を連日一週間続けたこともあります。「返事を書こうと思ったら、次次来るので返事が書けません」、そんな葉書も受け取りました。
当時の津軽の雪の中の下宿の一室で、どうやって想いを伝えようかと書いたものが、ぼくのそれからたくさん書いてきた文章の中でも、一番の出来だと今でも思います。
少女に愛を語るなにやら痛きもの
ぼくの一人芝居で、相手はもう一つついてこられていない片思い状態であることも、気づいていました。だけど、書くことで生きている、伝えることだけで十分だとも思っていました。結婚したときに、妻はぼくが書き送った手紙を持ってきました。四万十市のごみ袋に一杯ほどの葉書と手紙でした。3年前の引っ越しのときにそれが行方不明になり、必死で長時間探しました。ぼくの生きてきた証拠が消えてしまうような気がしていました。
ちょっとほっとするのは、妻の部屋にぼくが高校2年生に初めて送った葉書を飾ってくれていることです。きっと嫌だった手紙攻勢だったろうに・・・、救われます。ぼくは初めてもらった手紙を引き出しに入れています。
あれからの長い月日を感じます。
にごり茶(第11回)稲田 昌二郎
2020年4月
幡多地域でも新型コロナウイルス感染症が発生しており、みなさん不安な気持ちでお過ごしのことと存じます。3月31日に幡多地域の第1例が発表されたときは、これからどうなるんだろうと思いましたし、四万十市で発生するのも時間の問題だろうと覚悟しています。ただ、現状では感染拡大のスピードは他国とくらべるとゆっくりで、医療崩壊にも至っておりません。それは、‘’三密‘’や‘’不要不急の外出‘’を避けて行動してくださっているみなさんのおかげだと思っています。
そんなコロナの合併症?で、最近注目されているのがコロナ太りです。(コロナデブとも言うそうです。)外出が減り、家にこもるので運動不足・食べすぎになりがちですが、飲みに行く機会がへってむしろやせるという方もおられるかもしれませんね。毎日体重を測る、買いだめした食料には手を出さない、散歩やジョギングなど屋外の運動をするなど、よろしくおねがいします。
また、コロナうつというのもあるようで、コロナへの不安や外出ができないこと、経済的な不安などの影響などがあるようです。不安が強くなるような情報は集めすぎないようにして、屋外で適度な運動をして、コロナ後(アフターコロナ)にしたいことを楽しみに、過ごしたいものです。ちなみにぼくがコロナ後にしたいことは、温泉ですっ!
お知らせ
その1 「大笑いしてウイルスを吹っ飛ばす」の色紙プレゼント
コロナウイルスでうっとおしい毎日が続きます。ちょっとでも気持ちが楽になるように、小笠原望直筆の色紙をご希望の方全員に差し上げます。受付まで声をかけてください。
その2 大野内科健康教室のご案内
4月25日の健康教室はコロナウイルスの流行により、中止といたします。次回は5月23日第4土曜日を予定していますが、これもウイルスの流行次第で中止の可能性がありますのでご注意ください。「ウイルスをもっと知ろう」の題です。
その3 診療所休診について
5月22日金曜日は学会出張のため診療所を休みと連絡させていただいていましたが、学会が延期となりましたので、診療を通常通り行います。よろしくお願い致します。
その4 小笠原の訪問診療について
小笠原の訪問診療は、現在、水曜日と金曜日の午後行っています。
4月より、月曜日の午後も追加して行う予定でしたが、新型コロナウイルス流行のため、しばらく診療所内での診療を行います。
(2020年5月15日 第212号発行予定 )