Vol.202(2019年7月号)
手紙の思い出小笠原 望
ぼくの得意の文体は、手紙文です。10年続けている「スタイルアサヒ」の連載の編集担当の伊藤さんも、行き詰ったら手紙文でとすすめてくれます。これは既に書きましたが、妻が結婚するときにぼくの書き送った手紙を持ってきました。段ボール箱一杯はありました。学生時代の津軽の雪の中で、手紙をたくさん書きました。お金のない学生は雪の降る夜は、本を読むか、手紙を書くことで時間をつぶしました。
実家にも定期的に書き送りましたので、かなりの量になります。「返事を書こうと思ったら、次から次へと来るので書けません」と、返事が書けない言い訳になるほど妻には手紙を書き送りました。「原稿用紙5枚を今日から1週間書き送ります」という時もありました。まるでストーカーでしたね。
公衆電話は十円の時代で、弘前と四国では夜8時を過ぎても、相手が沈黙すると「カチカチカチ」と虚しく十円玉がどんどん落ちてゆきました。この切ない音は耳に残っています。
当時は物書きの端くれになるとは思っていなかったのですが、想いは話し言葉よりも書き言葉が合っているという気持ちはありました。喫茶店で向かい合って、言葉に詰まることが何度もありました。学生当時の手紙文は、当時の川柳と同じで、読みかえしても一番まぶしくて迫力があります。
時は巡り、大野内科の継続を考えた時に、森事務長と後継者について何度もなんども相談をしました。いよいよ困った時に、「手紙を書いてみる」ことにしました。当時、幡多けんみん病院でバリバリの内科医である稲田先生に、津軽の時代を思い出して渾身の力を込めて、手書きで便箋に向かいました。
ぼくは丸字なのですが、しばらくして稲田先生から丸字のうれしい返事が来ました。無理だろうなと思っていたので、学生時代の妻からのたまに来る返事を読む時の、十倍ほどに嬉しかったことを覚えています。
稲田先生の奥様のお力添えもあって、大野内科においでていただいて、50周年を祝うことができました。ありがたいことです。それにつけても、言葉は大切だと思います。それ以上にここっという時には文字で、手紙で想いを伝えることは大切だと感じます。
ぼくの生きてきた大きな節目には手紙のお蔭がある、そうしみじみ思います。
にごり茶(第2回)稲田 昌二郎
突然ですが、今回はPM2.5について書きたいと思います。PM2.5は大気汚染の原因となる物質で、北京の灰色の空、を思い浮かべる方も多いと思います。幡多は空気がとてもきれいですのであまり実感はありませんね。PM2.5は直径が2.5マイクロメートル以下のとても小さいつぶで、肺の奥深くまで入り込み、全身の炎症を引き起こします。そのためPM2.5の濃度が高い地域では、死亡率が上昇することがわかっています。PM2.5は工場や自動車からでる煙などが原因ですが、なんとタバコの煙もPM2.5だそうです。日本の空気はきれいになりましたが、屋内でのタバコの規制は遅れていて、公共空間での受動喫煙が問題になっています。そんな折、7月1日に改正健康増進法が施行され、大野内科は敷地内禁煙となりました。北京の空もずいぶんと綺麗になったそうです。愛煙家の方には大変ご迷惑をお掛け
いたしますが、よろしくお願いいたします!
お知らせ
その1 大野内科健康教室のご案内
6月の健康教室スペシャルは、多数のご参加で盛大に開催できてありがとうございました。次回は7月27日の第4土曜日を予定しています。「水分をとることについてー熱中症の予防―」の題です。その次は8月24日の第4土曜日です、沢山の方のご参加をお待ちしています。
その2 肺炎球菌ワクチンのお知らせ
肺炎球菌ワクチンの接種を行っています。原則予約制です。ご希望の方は受付にお申し出ください。電話でも構いません。今年度公費助成の対象のかたは、これまで肺炎球菌ワクチンを接種したことがない方で、平成31(令和1)年度に以下の年齢になられる方になっています(65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上)。ご確認ください。詳しくは各市町村役場にお尋ねください。
その3 休診のお知らせ
8月1日木曜日及び8月31日土曜日は小笠原10:30までの診療となります。また、9月7日土曜日、9月21日土曜日は小笠原休診となります。稲田は診療します。ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。
その4 風しん抗体検査の実施について
公費による風しん抗体検査及び予防接種を実施しています。ご希望の方は受付にご相談ください。
(2019年8月15日 第203号発行予定 )