内科・糖尿病内科

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大野内科の広報誌 《 毎月15日発行 》

Vol.251(2023年8月号)

にごり茶(第51回)稲田 昌二郎

夏休みの宿題といえば、読書感想文が苦手でした。うちの子達も、後回しになっていて、懐かしく思いながら、今月末が思いやられます。そんな僕も、読書好きになり、少し文章も書くようになりました。今回は2023年夏の読書感想文を書いてみました。

 『対岸の家事(朱野帰子 著)』を読んで
※対岸の火事:自分には無関係で影響のないことのたとえ
※家事:掃除、洗濯、炊事、買物などの、家庭における日常生活のこと
 家庭における家事の主な担い手は主婦であるが、近年はワーキングマザー(ワーママ)や主夫の増加もあり、専業主婦は絶滅危惧種だと、物語では述べられている。高知県の共働き率は約65%で、約30%程度が専業主婦だそうであるので絶滅危惧種は少し言い過ぎのようなきもするが、そのうち本当にお目にかかるのが難しくなるのかもしれない。
 本書の主人公詩穂は、早くに母を亡くし、父との暮らしの中で家事を一手に担う。一方で父からは感謝の言葉がまったくない。高校卒業後、詩穂は自分の家事を喜んでくれる家族を探し、家を出る。そして居酒屋の店長の虎朗と結婚し、2才の長女・苺と暮らしている。虎朗は帰りがおそいが、帰宅後に詩穂の話をちゃんと聞くことが結婚の条件だ。詩穂は日中は苺と共に児童支援センターや公園で過ごすが、「専業主婦は楽をしている」、といった声や妬みが聞こえ、疎外感や戸惑いを感じる日々。丁寧にゆっくりと家事をこなし、一日にあった何気ないことを虎朗に聞いてもらい一日が終わる。そんな中で二児を抱えるワーママの礼子、育休中の国家公務員中谷、妊活中の開業医の妻晶子など、立場が違いながらもお互い助けあい関わりができていく。詩穂を中心にそれぞれの登場人物と家事に関わる話が展開していく。物語で感じることは、みんなそれぞれに大変でありながらそれぞれがんばっていること。特に印象的なシーンは、二児の子育て中のワーママ礼子が、子供二人と自分が発熱という無理ゲー(実現不可能だったり、達成が非常に困難だったりする物事のたとえ)を経て、専業主婦になる決意を一度はしたものの、土俵際でワーママを続ける決意をしたところ。人それぞれに寄る辺があるということだろう。物語の題の『対岸の・・・』、は立ち位置の違いを示しており、対岸の居酒屋店長、対岸のワーママでもあるのだ。みんなそれぞれの炎上することが有りながらも生活がなりたっているが、時には消火を手伝ったり、手伝ってもらったり。対岸の家事は自分には無関係なことではないのだ。
ほっこりとした物語のなかで、ひとそれぞれの寄る辺がありながら関わりあうこと、家事は大変で尊いことを再認識した一冊であった。
 
 読後感のいい、優しい気持ちになれる大好きな本です。みなさんに読んでいただきたく、古本ですが受付カウンターにおいております。どうぞご自由にお持ち帰りいただき、ご自宅でゆっくり読んでみてください。アマゾンプライム会員の方は、Kindleアンリミテッドで無料で読めますので、ぜひご覧下さい。(下のQRコードを読み込んでください。)

今月の一句小笠原 望

プーチンを笑わす漫才師を探せ
介護者のめまいいのちを背負いつつ
寅さんを古典落語を聴くように
認めたらすっきりするとおどされる

お知らせ

その1 発熱・咳・のど・鼻水など、風邪の症状のある方は、来院前にお電話を!
 お電話で症状などをお聞きして、診察の時間・場所などを調整しております。
 5類感染症となっても、今までどおり発熱・風邪症状の患者さんはまずは院外での診察です。皆さんに待合室で安心して過ごして頂くため、ご協力よろしくお願いいたします。

その2 新型コロナウイルスワクチンの追加接種について
8月は大野内科での接種は行っておりません。9月以降は未定です。
接種希望の方は、コールセンター(0880-34-8535)または
新型コロナワクチン予約サイト(四万十市)でご相談してください

その3 肺炎球菌ワクチンの接種について
原則予約制です。ご希望の方は受付にお申し出いただくか、お電話を。

その4 特定健診について
予約制です。日時詳細や予約については受付にてお問い合わせ下さい。

その5 9月から、小笠原先生の外来は月~土曜日、午前中のみとなります
9月から、月曜日午前中の外来が再開(予約のみ)となり、火曜日午後の外来が終了します。

休診のお知らせ
8月26日(土):所用にて小笠原は11時までです(稲田は通常どおりです)
9月8日(金):所用にて稲田は15時30分までです(小笠原は通常どおりです)
10月4日(水):検診のため、小笠原休診です(稲田は通常どおりです)
11月4日(土):所用にて小笠原休診です(稲田は通常どおりです)
11月29日(水):検診のため、稲田休診です(小笠原は通常どおりです)

2023年9月15日頃 第251号発行予定